西村賢太さんの訃報
2月5日に芥川賞作家の西村賢太さんが急逝されたとの報道がありました。
Yahooニュースで知って、思わず「えぇっ!」と声が出てしまいました。
竹内結子さんや三浦春馬さんの時でさえ、声は出なかったので、自分でもビックリするくらいの衝撃でした。
タクシーに乗り込んですぐに意識不明になって、病院に搬送された時には心肺停止だったとか。
まるでナンシー関さんの最期のような…。
以前、このブログの貫索星過多には辛い時代で、ちらっと西村氏のことを取り上げさせてもらいました。
彼は律音・納音・火性天干一気格・土性地支一気格という、同じ干支ばかりが揃うハイパー特殊命式なので、位相法で厳しい星回りになると、それが二重にも三重にもなります。
改めて確かめたら、10年の大運で天剋地冲が中央と東、2021年の年運でも中央と東の合計で四重の天剋地冲でした。(天剋地冲については前々回の記事を参考にしてください)
倒れたのは2022年に入った2月4日の夜だそうなので、2021年の危ない運気を逃げ切れたかと思いましたが、遅れてやってきた鬼に捕まってしまったようです。1日100本超のヘビースモーカーだったらしいですしね…。
西村氏に興味を持ったのは、皆さんがそうであるように、やはり芥川賞受賞の際のインタビューです。
「(受賞の連絡がないので)そろそろ風俗に行こうかと思っていた」という会見を見て、面白い人だなと思ったのが最初です。中卒の芥川賞作家というのもインパクトがありました。
その会見から半年くらいして、図書館で受賞作の『苦役列車』を借りて読んでみました。
私小説なので、ほぼご本人と思われる主人公の北町貫多が、中々のクズっぷりを発揮していて、全く感情移入出来ませんでしたが、それにも関わらず、リズムの良い洗練された文章に引き込まれ、最後まで一気に読まされてしまいました。
何という筆力、何という才能…感服です。
(ところで貫索星過多の西村氏の描く主人公の名前が、『貫多』って、偶然ですかね??)
西村氏といえば、大正時代の作家・藤澤淸造に心酔していたことも有名で、彼のお墓の横に西村氏自身の生前墓を立てたとか、自分の部屋にも藤澤氏の墓碑(?)やら、遺品の数々やらを飾っていて、かなりの傾倒ぶりでした。
ここからは私の妄想というか、証明のしようがないことなので、お伽噺として軽く受け流して欲しいのですが、西村賢太さんは、その藤澤淸造の生まれ変わりではないのかと私は密かに思っています。(我ながら電波な話ですわねぇ…)
西村さんは貫索星が4つもあります。これだけ貫索星が多い人は、ハッキリ言うと自分にしか興味がありません。その自分にしか興味ない人が、赤の他人である藤澤氏に、これほどに心酔するということは、藤沢淸造≒西村賢太なのではないかと、ふと思ったわけです。
藤澤淸造の作品は読んでないですが、ほとんど無名の作家だったようで、長編小説『根津権現裏』を発表したものの、その10年後に芝公園で凍死体となって発見されています。
いわゆる法律上の行旅死亡人で、平たくいうと、行き倒れですね。
そのままだったら、文学史の片隅に埋もれて完全に忘れ去られていたと思います。
藤澤氏はそれが無念で、西村氏の体を借りて生まれ変わって来たんじゃないかなぁと。
そして自分の過去の作品を改めて世に送り出し、新しい作品で芥川賞を獲って世に認められ、今生の目標をクリア出来たので、満足して彗星のごとく去って行った…。
…勝手な妄想が止まらない。
54歳という年齢での逝去は早いですが、あまり長生きしたいと考えてはおられなかったようですし、無頼派の西村氏らしい最期というか、見事な幕引きだったのではないでしょうか。
私自身は、西村氏の生き様自体が文学だと思っていたので、もう少し生きて欲しかったと思いますけどね。
西村氏のご冥福をお祈りします。